5月上旬〜5月下旬 西川
 小学校4年で渓流釣りを始めて、ようやくヤマメが釣れたのは中学1年の夏、場所は丹波川だった。それからは同級生達と近県の釣り場へ良く出掛けた。一番足繁く通ったのは高麗川支流の北川、奥多摩の秋川だった。良い釣りが出来たのは鶴川、桂川、浦山川、川浦谷、大血川、日原川、丹波川、狩野川の本谷川、河津川、中川川と言ったところか。
 大学4年になって、ゴ−ルデンウイ−クに一人で上高地と木曾路に3泊4日の釣り旅に出た。今は禁漁になってしまった味噌川や木曾福島の黒川、殿の小川 等で好漁した。これに気を良くした私は、5月の24,25日を利用して、渓流の魅力に取り付かれながらも、今まであまり良い釣りに恵まれなかった呉を誘って、一番釣れると判断した木曾の味噌川と八ヶ岳の西川へ向かった。味噌川では予想道理26pのヤマメとイワナが釣れた。呉は型は見たものの、満足出来る釣りとは言えない。そしてその足で西川へと向かった。
                                                                                 
 思い出に残る釣りが何度も
 私と友人達の釣りはいつしかフライに変わったが、ホ−ムグランドはそのころから西川と近くの大門川と決まっている。あれから西川で思い出に残る釣りが何度もあった。
 圧巻だったのは、昼の釣りで全くフライを相手にしなかったイワナ達の泳ぐ位置を全て頭の中にインプットしておいて、薄暗くなってからそいつらを同じフライで全て釣り上げた事があった。22p〜25pまでが17尾釣れた。
 矢出川では流れ終わる寸前の瀬尻ばかりで、決まったように良型が立て続きにヒットした。6尾全てが同じようなポイントで釣れた。瀬尻で虫のハッチが有ったのだろうか、それとも何奴もスレていて、流れ終わりまで見届けて食いついて来たのだろうか。
 ある日カディスを水中で逆引きしてフライにキラキラとまとわりつくのを確認して釣り上げたり、向こう合わせで釣り上げたりしていると、対岸でドボン!と大きなライズがあり、すかさず同じ場所にフライを落とすとドボン!と一発でハリ掛かりした。久しぶりの尺上だが、足場が高くて容易に取り込めない。釣り堀の鯉釣りのようにしばらく息を吸わせて暴れなくなったのを確認して、ロッドに反動を付けて上げようとしたところ、バット部分がバキッと折れて、魚を取り逃がしてしまった。モスバックに寄って、西川でヒゲナガのハッチが有ったことを師匠に告げると、庭に出てすぐにヒゲナガを捕まえてきて見せてくれた。「今日はこの辺も沢山ハッチしてるよ」 目の前で見るヒゲナガは大きなバッタのようでグロテスクだった。
 西川で良い釣りをしたのはいずれも5月だった。フライは#16〜#14カディス、ロイヤルコ−チマン、ラスティ−パラシュ−ト(アカマダラ)等が良かった。
良型ばかり入れ食い
 西川に着くと大雨で、まずは木曾で使い果たした釣りの仕掛けを調達に信濃川上駅近くの雑貨屋に行った。釣り具の専門店ではないので、オモリも極小のガン玉しか無く、ハリも極小。諦めム−ドで川へ向かった。雨は止んでいて、夕方と言うこともあって、好機以外は滅多に釣りをしないような地元の釣り人達が出て来ている。大きな玉編みを持っているので、「そんな大きいのが釣れるんですか?」と聞くと「釣れるよ」と答えが返って来た。川虫を捕って、心細い程の小さなオモリとハリで釣り始めた。これが当たった。軽いオモリでゆらゆらと表層で揺れ動く川虫をイワナ達がス−ッとゆっくり深く吸い込んでいく。フライで言うイマ−ジャ−の釣りとピッタリマッチしていたのだと思う。結果、初めて”良型ばかり入れ食い”と言う思い出の好漁となった。暗くなった河原には一人バンザイを叫んでいる呉の姿があった。
西川橋
モスバックの看板の前で