4月下旬〜5月上旬 水無川
 水の無い川
 水無川は今までの釣り歴の中で、一番爆釣した川である。
 只、この川に関してはエキスパ−トの先生から”秘密の情報”を聞いていたので、あるていどそうなる予感は有った。今日私がこうして公表するのは、数年前この地域を襲った台風により状況が一変しているとの情報を聞いてのことである。以前のような宝庫に早く回復することを願ってやまない。
 本当に釣れる川と言うのは、あまり誌上に載らない。載ったとしても全く逆のことが書いてあったりする。それはこの川がエンテイの落ち込みをのぞいては、見渡す限り平瀬と言うことでごまかせたからである。まずこの川を見る限り、エサ釣りの人は竿を出す気にはならない。おまけに5月も半ばになると田圃に水が引かれて、涸れた止水のようになってしまうので、この川を熟知した人以外は難しい。現に、東京で知り合った会津田島出身の人に水無川の事を聞いても「水の無い川」としか答えが返ってこなかった。  雪しろの始まりと終わり頃の好機に行くことが出来れば、思い出に残る釣りが出来た。(雪しろの真っ最中は釣りにならない)
 釣り場の紹介記事を繁盛に載せている有名な方々が、この釣り場を全く語らないのに、主催するフィッシングスク−ルだけはしっかりこの川で行っていた。
 エキスパ−トの先生は「今まで日本全国くまなく釣ってきたけど、この川ほど魚の多い川は無い。」と断言されていた。そして「この川で釣れなかったら、釣りをやめた方がいい。」とも・・・。「くれぐれも深いところばかり狙わずに、膝までの浅いところばかり狙うように」と念を押された。私は浅いところばかり狙わないと釣れないと言う不思議な未知の川に、早く行ってみたくなった。
 奥多摩の秋川でも浅瀬でヤマメが釣れたが、その浅瀬に相応したチビヤマメだった。上高地の島々谷中程にあるダム流れ込み浅瀬でも、水深10pで当たりが有ったし、千曲川支流梓川の梓ダム流れ込み上部の浅瀬でも、同じことは有った。だが、イブニングならともかく昼間からそれ専門に狙って、釣果の上がる川が存在するとは・・・。
 あの釣りが出来るの水無だけ
 正東と鶴沼川で釣りをした後、水無川に向かった。湯野上から田島までは以外と遠かった。小雨の中、疲れて車の中で寝てしまっている相棒を置いて土手を下りた。聞いていた通りに目の前の水深15p程の浅瀬にフライを流した。1投目当たり無し。2投目も無し。いくらなんでも浅すぎたかな〜。3投目、水面にシャ−プな亀裂が入った。来た!すかさず合わせると身をくねらせて抵抗する。上がってきたヤマメは25pの良く太った奴。土手を駆け上がり寝ている正東の顔の前にぶら下げて見せた。釣れたぐらいで起こすなよとけだるそうに眼を開けた相棒は、その型を見てさすがに釣り支度を始めた。雨足が次第に強くなり、ドライでは無理と判断してニンフに切り替えた。叩き付けるような雨の中、次々にインジケ−タ−が消し込まれる。ニンフに来るのは殆どイワナで、19p〜20pと型は物足りない。時折ニンフにもツン!と早い当たりが有り、うまくタイミングが合うと23pの良型ヤマメが釣れてくる。ヘア−ズイア−ニンフはすでに20尾以上の魚達に噛み付かれてボロボロになっている。フサフサと十分に巻いていたヘア−も、針金の固まりの中に申し訳無さそうに挟まって残っている無惨な状態。そんなニンフでも魚達はお構いなしに食い続けた。場所を移動しようとして瀬を歩き始めると、芦の間から2尾の良型ヤマメがゆっくりと泳いで行く。浅いので水面に背ビレが全部出ていて、ジョ−ズのようだ。フライを新しい物と代えて、低いエンテイ下の深みを狙った。浅瀬ほど沢山の当たりは無かったが、瀬よりは型の良い22pのイワナが3尾釣れた。帰って来てエキスパ−トの先生に爆釣したことを報告しながら、「これからは浅瀬と言うものを見直して、他の川でも見逃しがちな浅瀬ばかり狙えば釣果が上がるのでは?」と問うと、「そう思うだろうけど、やっぱり水無だけだよ。あの釣りが出来るのは」そうですよね〜やっぱり。