早朝だけ釣りが出来る板小屋沢(会津・湯野上)
  羽鳥湖の湖畔にあるキャンプ場から、サイクリング専用ロードを上流に向かってしばらく歩くと、眼下に迫力のある素晴らしい渓流が見えてくる。本流筋の板小屋沢だ。流れは広く深く豪快で足場も悪いが、湖育ちの大物が期待できる。
  正東と二人でここを狙って訪れた時は、おりしも大雨で釣りにならなかった。雨が止んだかと思えば、今度は蚊の猛襲に合い、顔、首、腕と、ところ構わずボコボコにされてしまった。板小屋沢の豪快な流れもさほど距離はなく、川幅のあるチャラ瀬がしばらく続くようになる。やがてレクリエーション施設レジーナの森に近づくと、流れはふたたび復活する。ボサが少々気になるが、瀬あり淵ありで申し分のない渓相である。魚も良型イワナ、中型ニジマス、小型ヤマメとバラエティーで楽しめる。魚影が濃いのも分かり、さあーこれからと言う時に、突然背後から人に呼び止められた。振り向くと、川沿いにある温泉施設の従業員の方。すぐ上流の脇に女性専用の露天風呂があり、これ以上先に進んでもらっては困るとの事。良型イワナが口を開けて待っている、上流の好ポイントをうらめしそうに見上げながら、釣りを終了する羽目となった。
  ここの釣り場はお察しの通り、温泉の営業時間前の早朝に入渓すれば、普段は前記の理由で釣りが不可能なだけに、おもしろい。 只、一つだけ問題がある。すぐ上にお土産屋、大駐車場、人工池などがあり、温泉や食堂から眺められるこの流れで、信じ難い事だが、砂地に大きな熊の足跡があった。おそらく夜間か早朝に、水を飲みに来たのであろう。それがもし、熊の日課となっているのならば、入渓は要注意である。板小屋沢を更に上流、ペンション村の裏から入渓すると、すでに小沢になった人気のないところに遊歩道があり、「熊が来るよ」と書かれた看板がある。数年前、軽井沢のキャンプ場で、キャンパー達が捨てた生ゴミを狙って、数頭の熊が出没した。檻にワナをかけて捕まえて山奥に返したそうだ。あの軽井沢に熊が?と驚かされるが、そのキャンプ場は、元々熊の生息圏にキャンプ場を作ったと思える程、山深い所にある。この羽鳥湖周辺もそれと同様である。
本当に穴場の大白川
  上高地の奈川ダム方面へ向かう途中、見落とされそうな林道が左から入ってくる。二十数年も前の記憶で恐縮だが、この大白川林道は、今にも落石が起きそうな荒々しい道で、怖々と車で走った思い出がある。車止めで熊よけのため、散々クラクションを鳴らしてから上流へと歩き始めた。30分位歩いたと思う。
 取水口上からの流れは、ボサが多いながらも活き活きしている。中型のイワナが至る所で気持ち良さそうに泳いでいて、まさに別天地。この頃にフライフィッシングを始めていたなら、さぞかし思い出に残る釣りが出来ただろうと今になって悔やまれる。結局、水面で泳いでいるイワナを恨めしそうに見つめながら、近づけず、水面を流せずで、オモリを付けて沈めるエサ釣りで、やる気のないイワナを岩の底から引っ張り出す釣りに終始した。やつと2尾釣り上げた頃から、本命の女に声かけられずに、近場の女とお茶を濁した様な違和感を感じて、戦意喪失。月日は経ってしまったが、いつか初夏にドライフライで狙ってってみたい釣り場だ。